八女提灯は竹骨を一条螺旋状に巻き、
厚紙を薄紙の八女手漉き紙に変え、
内部が透視できるようにして
山水、草木、花鳥などの
彩色画描写をした為、
涼み提灯として名声を博しました。
明治の頃、
吉永太平氏の弟・伊平氏が
速描の絵画法を
応用して生産性が向上し、
大正時代には
八女提灯独特の大型提灯から
盆提灯へと転換しました。
盆提灯以外では大正初期以後は、
騎馬提灯、祭礼用一夜提灯、弓張提灯、宣伝提灯の
流れで現在に至っています。
八女の土壌で育成された技術、
技法を取り入れた
昔ながらの素朴な提灯と
近代的な盆提灯が創られており、
風雅な情緒味に富んだ提灯として
全国一の生産量を誇り、
製品は広く、全国へ出荷しています。
八女提灯を飾ることで表す、
先祖への感謝と尊敬の気持ち。
八女提灯が生まれた約200年前、
照明として使われていた提灯は、
日本人の暮らしになくてはならないものでした。
現代でも、神社や祭り会場を彩るほか、
お店の看板にも利用され、その温かな灯りは、
どこか哀愁や情緒を漂わせます。
八女提灯の生産量の約9割を占める盆提灯も厳かな光を灯し、
できるだけ多く飾ることが、先祖への供養といわれてきました。
故人が好きだった花や風景が提灯に描かれ、
絵を一つとっても意味があることに驚かされます。
同地区の伝統的工芸品・八女福島仏壇とともに、
先祖への感謝や尊敬の気持ちの表れといえるでしょう。
そんな盆提灯も現代のライフスタイルに合わせて小型化されるなど、
時代の流れとともに多様な製品が作り出されています。
すべて手作業で行われる提灯作りの
高い技術を活用したランプシェードなどに
注目してみてもおもしろいかもしれません。